科学

カゴメ金属CsV3Sb5の伸張で2つの超伝導状態が分離、研究が報告

岡山大学の研究者らは、カゴメ金属CsV3Sb5を伸張すると通常は共存する2つの超伝導状態が分離したと報告し、これが以前の矛盾する実験結果の説明に役立つと述べている。

2026年10月07日 17:23 UTC約4分で読めます1 情報源

要点

  • Phys.orgによると、カゴメ金属CsV3Sb5は約94 Kで電荷密度波秩序を発現し、約2.5 Kで超伝導を示す。
  • 岡山大学の川崎真司准教授が率い、同大学の鄭国慶教授と共同で行った研究チームは、一軸ひずみ(結晶のある方向に沿った伸張)と核四重極共鳴測定を用いた。
  • +0.90%の引張ひずみにより、超伝導転移温度はひずみゼロの約3.0 Kから3.6 Kに上昇した。
  • 最大の引張ひずみ下で、この物質は2つの超伝導転移を示した。1つは3.6 Kでノードを持つ状態、もう1つは3.0 Kでノードを持たない状態だった。
  • 研究者らによると、ノード成分はひずみゼロでの寄与率10%から、+0.90%ひずみで約26%に増大した。

Phys.orgの報道によると、カゴメ金属CsV3Sb5は約94 Kで電荷密度波秩序(電子の波のようなパターン)を発現し、その後約2.5 Kで超伝導を示す。同報道は、この物質に関する実験が、その超伝導ギャップが従来型なのかノードを含むのかについて相反する見方を示してきたと述べた。同報道によると、超伝導がどのように形成されるかを知ることは、より優れた超伝導材料の探索の指針になり得る。

Phys.orgによると、川崎真司准教授が率い、鄭国慶教授と共同で行った研究チームは、その場一軸ひずみ(結晶のある方向に沿った伸張)と核四重極共鳴測定を用いてCsV3Sb5を調べた。両研究者は日本の岡山大学物理学科に所属している。同報道によると、この研究は2026年8月28日に学術誌フィジカル・レビュー・レターズに掲載された。

同報道によると、研究者らは自作の圧電駆動型ひずみセルを用いて高品質の単結晶を1つの結晶方位に沿ってひずませ、超伝導転移と局所電子物性を監視した。彼らは、結晶を圧縮するのではなく伸張すると超伝導転移温度が大幅に上昇することを見いだした。ひずみゼロでは転移は約3.0 Kで始まり、+0.90%の引張ひずみで3.6 Kに上昇した。電荷密度波はひずみ下でも本質的に変化しなかった。同報道は、このことが超伝導を物質の既存の電荷秩序とは独立に調整できることを示したと述べた。

同報道によると、最大の引張ひずみ下で、この物質は2つの超伝導転移を起こした。最初の転移は3.6 Kで起こり、ノードを持つ超伝導状態(超伝導ギャップが特定の方向でゼロになる状態)に対応していた。一方、2番目の転移は3.0 Kに現れ、ノードを持たない状態を示した。同報道は、この知見が、常圧下でほぼ縮退している(エネルギーが近い)2つの異なる超伝導状態が、ひずみを加えると分離し得ることを示し、以前の実験が異なる結論に至った理由の説明に役立つと述べた。

川崎氏は言った。「何年もの間、CsV3Sb5の異なる測定は、一見異なる超伝導状態を指し示してきた。我々の結果は、これらの状態が共存し得ること、また一軸ひずみがそれらを分離し得ることを示しており、各状態を研究する直接的な方法を与えてくれる。」川崎氏はまた、「ひずみはこの物質に独立した制御つまみを与える。それはバルクの電荷密度波を変えることなく超伝導を強化する」と述べた。

同報道によると、研究者らはさらに、非従来型のノード成分が引張ひずみ下で強くなり、ひずみゼロでの寄与率10%から+0.90%ひずみで約26%に増大することを見いだした。同報道は、静水圧は主に電荷秩序への影響を通じて超伝導を変化させる一方、今回の結果は一軸ひずみが競合する背景状態を堅牢に保ったまま超伝導対形成チャネルを選択的に強化できることを示すと述べた。同報道は、この手法がCsV3Sb5以外にも有用であり得ると述べた。

背景

同報道によると、非従来型超伝導体は異常な電子状態を宿すことがあり、異なる形態の秩序が共存すると、その超伝導を駆動するものを理解するのが難しくなる。研究者らは、ひずみ法を2つの超伝導状態を分離し、それぞれを研究する方法として提示している。

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